年末調整2026(令和8年分)の変更点は?会社員が書類で気をつけること5つ
「年末調整は、去年と同じように書けばいい」と思っているなら、今年は少しだけ待ってください。
国税庁は令和8年分の年末調整について、**「本年の年末調整においては、基礎控除の引上げ等にご注意ください」**と案内しています。変わったのは、基礎控除・給与所得控除・扶養の収入の上限・生命保険料控除の4つ。どれも、会社から配られる申告書に書く数字に関わります。
僕の家は、妻が正社員で育休中、子どもが1歳と0歳です。配偶者の欄も、子どもの欄も、保険料の欄も、全部が自分の家の話でした。国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」と財務省の税制改正の大綱を読んで、会社員とその妻が、書類のどこで手を止めればいいかを5つにまとめました。
この記事の結論
- 今年の変更は4つ。基礎控除は合計所得489万円以下で104万円、給与所得控除の最低保障額は74万円に上がる
- 妻や子を扶養に入れられる収入の上限は、給与だけなら136万円以下に上がる。ただし社会保険の扶養(130万円)は別の基準なので、そのまま当てはめない
- 妻の収入は「見積額」で書く。ずれても、翌年1月末まではやり直せる
年末調整とは(今年の書類は4種類)
年末調整は、毎月の給料から引かれてきた所得税を、年の終わりに会社が計算し直して、払いすぎや足りない分を精算する手続きです。会社員は、会社から配られる申告書に家族や保険のことを書いて出すだけで、確定申告をしなくて済むことが多くなります。
令和8年分の年末調整で会社に出す主な申告書は、次の4種類です(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。
| 書類の名前 | 受けられる控除 |
|---|---|
| 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 扶養控除・障害者控除・勤労学生控除・寡婦控除・ひとり親控除 |
| 令和8年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書 | 基礎控除・配偶者控除・配偶者特別控除・特定親族特別控除・所得金額調整控除 |
| 給与所得者の保険料控除申告書 | 生命保険料控除・地震保険料控除など |
| 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書 | 住宅ローン控除(2年目以降の人) |
2枚目は名前がとても長いですが、4つの申告書が1枚に並んだ様式です。
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」/国税庁「令和8年分 各種控除について(給与所得者用)」
令和8年分の変更点は4つ
国税庁が「昨年と比べて変わった点」として挙げているのは、次の4つです。
- 基礎控除の引上げ
- 給与所得控除の最低保障額の引上げ
- 扶養親族等の所得要件の改正
- 年齢23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例の創設
これらの改正は原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。国税庁は、令和8年11月までの給与等の源泉徴収事務に変更は生じないとしています。つまり、11月までの給料から引かれる所得税の計算は変わらず、新しい数字は年末調整で令和8年分の税金を計算し直すときに使われます。
出典:国税庁「年末調整がよくわかるページ(令和8年分)」/国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」昨年と比べて変わった点
基礎控除と給与所得控除はいくら増える?
基礎控除
基礎控除は、所得から差し引ける額で、本人の合計所得金額によって変わります。去年(令和7年分)と今年(令和8年分)を並べると、こうなります。
| 本人の合計所得金額 | 令和7年分 | 令和8年分 |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 104万円 |
| 132万円超336万円以下 | 88万円 | 104万円 |
| 336万円超489万円以下 | 68万円 | 104万円 |
| 489万円超655万円以下 | 63万円 | 67万円 |
| 655万円超2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 |
令和8年分の104万円は、本則の基礎控除額62万円(改正前58万円)に、令和8年分と令和9年分の特例の加算42万円を足した額です。表の金額は「年収」ではなく「合計所得金額」なので、給料の額面と取り違えないようにしてください。
給与所得控除の最低保障額
給与所得控除は、給料の収入から自動で差し引かれる額です。いちばん少ない場合の額(最低保障額)は、令和7年分の65万円から、令和8年分以後は本則で69万円に上がります。さらに令和8年と令和9年は時限的な特例で5万円が上乗せされ、最低保障額は74万円になります(給与の収入金額190万円以下)。
「178万円」は何の数字?
財務省の令和8年度税制改正の大綱には、「所得税の課税最低限を178万円まで特例的に先取りして引き上げる」と書かれています。この178万円は、令和8年分の基礎控除104万円(合計所得489万円以下の場合)と、給与所得控除の最低保障額74万円を合わせた額にあたります。給料だけの人なら、ここまで所得税がかからない、という意味の数字です。
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」/国税庁「令和7年度税制改正における所得税の基礎控除の見直し等について」/財務省「令和8年度税制改正の大綱」
扶養に入れる収入の上限は136万円に
基礎控除が上がったのに合わせて、家族を扶養に入れるときの収入の上限も上がりました。令和8・9年分の数字は、次のとおりです。
| 家族 | 令和8年分の上限(合計所得) | 収入が給与だけの場合 | 改正前(給与だけの場合) |
|---|---|---|---|
| 扶養親族・同一生計配偶者 | 62万円以下 | 136万円以下 | 123万円以下 |
| 配偶者特別控除の対象の配偶者 | 62万円超133万円以下 | 136万円超207万円以下 | 123万円超201万5,999円以下 |
| 特定親族(19歳以上23歳未満の子など) | 62万円超123万円以下 | 136万円超197万円以下 | 123万円超188万円以下 |
| 勤労学生 | 89万円以下 | 163万円以下 | 150万円以下 |
配偶者の収入が136万円を超えても、配偶者特別控除で段階的に控除が残ります。たとえば、本人の合計所得金額が900万円以下で、配偶者の合計所得金額が62万円超95万円以下なら、配偶者特別控除は38万円で、配偶者控除と同じ額です。配偶者の合計所得金額が133万円を超えると、控除はゼロになります。
19歳以上23歳未満の子がアルバイトで136万円を超えた場合も、特定親族特別控除で控除が残ります。令和8年分の控除額は、子の給与収入が136万円超159万円以下なら63万円で、そこから段階的に減り、194万円超197万円以下で3万円です。
また、配偶者控除・配偶者特別控除は、控除を受ける本人の合計所得金額が1,000万円を超えると受けられません。
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」/国税庁 タックスアンサー No.1191「配偶者控除」/国税庁 タックスアンサー No.1195「配偶者特別控除」
税の扶養と社会保険の扶養は別の基準
ここがいちばん混ざりやすいところです。年末調整で書くのは税の扶養の話で、給与だけなら136万円以下が目安になりました。一方で、妻が夫の健康保険に入り、国民年金の第3号被保険者になる社会保険の扶養は、別の基準で決まります。
| 税の扶養(年末調整) | 社会保険の扶養 | |
|---|---|---|
| 何が決まる | 夫の所得税の控除 | 妻が健康保険料・年金保険料を払わずに済むか |
| 収入の基準 | 給与だけなら136万円以下(配偶者特別控除は207万円以下まで) | 原則として年収130万円未満 |
| 出す先 | 夫の会社(年末調整の申告書) | 夫の勤め先の健康保険(被扶養者の認定) |
日本年金機構は、第3号被保険者を、会社員・公務員に扶養されている配偶者で、原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の人としています。さらに、年収130万円未満であっても、厚生年金保険の加入要件にあてはまる人は、自分で厚生年金保険・健康保険に入るため、第3号被保険者には当たりません。
つまり、「税の上限が136万円に上がったから、妻は136万円まで働いても扶養のまま」とは言えません。社会保険のほうの条件は、130万円の壁の新ルールの記事で詳しく書きます。
出典:日本年金機構「国民年金の『第1号被保険者』、『第3号被保険者』とは何ですか。」/厚生労働省「『年収の壁』への対応」
書類で気をつけること5つ
書き始める前に、いちばん取り違えやすいところを先に書いておきます。
秋に配られる新しい「扶養控除等(異動)申告書」は、令和9年分(来年用)の用紙です。 令和8年分の年末調整で使うのは、年の初めに出した令和8年分の扶養控除等申告書のほうです。今年、家族の状況が変わったときは、令和8年分の申告書に異動を書いて出します。
会社から書類が配られたら、次の順で見ていくと手が止まりにくくなります。
- 配られた書類が、上の表の4種類のどれかを確かめる(扶養控除等申告書は、何年分の用紙かも見る)
- 「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」から書く(自分と配偶者・子の所得の見積もりがここで決まる)
- 年の初めに出した令和8年分の扶養控除等申告書の内容を、今年の家族の状況と比べる
- 保険料控除申告書に、契約ごとの保険料を書き、証明書を添える
- 分からない欄は空けたまま、会社の担当に聞いてから出す
そのうえで、書類ごとに見る欄は次の5つです。欄の名前は国税庁の令和8年分の記載例のとおりです。
❶ 基礎控除申告書:自分の合計所得の見積もりで基礎控除が決まる
- 「あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算」の欄に、給与所得の収入金額・所得金額と、給与所得以外の所得の合計額を書く
- 出てきた合計所得金額を、令和8年分の表に当てはめて「基礎控除の額」の欄を書く
令和8年分の基礎控除は、合計所得金額が489万円以下なら104万円、489万円超655万円以下なら67万円、655万円超2,350万円以下なら62万円です。国税庁の記載例にも「本年の年末調整においては、基礎控除が改正されていますので、控除額の計算にご注意ください」と書かれていて、手引きにも「昨年分と金額が異なります」とあります。
❷ 配偶者控除等申告書:「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額」の欄
- 「配偶者の氏名等」の欄に、配偶者の氏名・個人番号・生年月日などを書く
- 「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」の欄で、配偶者のその年の所得を見積もる
- 判定の欄で当てはまる区分を選び、「配偶者控除の額」か「配偶者特別控除の額」を書く
年末調整では、年末調整を行う日の状況で見積もった、1月1日から12月31日までの合計所得金額で判定します。令和8年分は、配偶者の合計所得金額が62万円以下(給与だけなら136万円以下)なら配偶者控除、62万円超133万円以下なら配偶者特別控除です。
❸ 扶養控除等(異動)申告書:所得要件の引上げで、新たに対象になった家族
令和8年分の扶養控除等申告書の欄は、次のように分かれています。
| 欄 | 書く人 |
|---|---|
| A 源泉控除対象配偶者 | 源泉控除対象配偶者に当たる配偶者 |
| B 源泉控除対象親族(16歳以上) | 16歳以上の扶養親族 |
| C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生 | 当てはまる人 |
| D 他の所得者が控除を受ける扶養親族等 | あなた以外の所得者が控除を受ける扶養親族等 |
| 住民税に関する事項 | 年齢16歳未満の扶養親族 |
- 年の初めに出した令和8年分の申告書に、誰を書いたかを会社に確かめる
- 扶養親族の所得要件が62万円以下(給与だけなら136万円以下)に上がったので、改正前の123万円で外した子や親が、新たに対象になっていないかを見る
- 新たに対象になった家族がいれば、令和8年分の申告書に異動を書いて出し直す
国税庁は、所得要件の改正で新たに扶養控除等の対象になる家族がいるときを、異動の申告が要る場合の1つに挙げています。なお、16歳未満の子は「住民税に関する事項」の欄に書く、と記載例に書かれています。
❹ 特定親族特別控除申告書:19歳以上23歳未満の子
- 「特定親族の氏名等」の欄に、氏名・個人番号・あなたとの続柄・生年月日・生計を一にする事実と、「特定親族の本年中の合計所得金額の見積額」を書く
- 見積額を表に当てはめて「特定親族特別控除の額」を書く
対象は平成16年1月2日生まれから平成20年1月1日生まれまでの親族で、合計所得金額が62万円超123万円以下の人です。子の給与が136万円を超えて197万円以下なら、扶養から外しても控除が残ります(特定親族1人につき最高63万円)。
同じ用紙の「所得金額調整控除申告書」は、年末調整の対象となる給与の収入金額が850万円以下の人は書かなくてかまいません。
❺ 保険料控除申告書:23歳未満の扶養親族がいる家の生命保険料
令和8年分と令和9年分は、年齢23歳未満の扶養親族がいる場合、新生命保険料の一般生命保険料控除の計算が変わり、上限が一律6万円になります(改正前4万円)。用紙では、次の欄で書きます。
- 「一般の生命保険料」の欄に、契約ごとに保険会社等の名称・保険等の種類・保険期間・契約者の氏名・保険金等の受取人の氏名・「あなたが本年中に支払った保険料等の金額」を書き、行ごとに「新・旧」のどちらかを選ぶ
- その下に「(a)のうち新保険料等の金額の合計額 A」と「(a)のうち旧保険料等の金額の合計額 B」を書く
- 同じ欄の「年齢23歳未満の扶養親族の有無」で「有」を選んだら、下の「年齢23歳未満の扶養親族 ☆」の欄に、その扶養親族の氏名・個人番号・生年月日・本年中の合計所得金額の見積額・あなたとの続柄などを書く
- Aの金額を「計算式Ⅱ(年齢23歳未満の扶養親族を有する場合の新保険料等用)」に当てはめて計算する
国税庁の記載例(新保険料80,000円・旧保険料35,000円の1例)では、旧の控除額が30,000円、23歳未満の扶養親族がいる場合の新の控除額が50,000円で、計は最高60,000円までとなり60,000円です。
- 計算式Ⅱは、新生命保険料が年3万円以下は全額、3万円超6万円以下は「新生命保険料×1/2+1万5,000円」、6万円超12万円以下は「新生命保険料×1/4+3万円」、12万円超は一律6万円
- 同一世帯の夫婦の間に、年齢23歳未満の扶養親族である子が1人いる場合は、夫婦の両方がこの特例を使える
- 特例の表は「新契約」の新生命保険料のものです。平成23年12月31日以前に結んだ旧契約だけの人は、この表の対象ではなく、旧契約の表で計算します
- 生命保険料控除の合計の上限は、改正前と同じ12万円(用紙の「生命保険料控除額 計」の欄も最高120,000円)
国税庁の文は「年齢23歳未満の扶養親族を有する場合」で、16歳以上に限る「控除対象扶養親族」とは別の言葉を使っています。小さい子の家で当てはまるか迷ったら、会社の担当に確かめるのが確実です。また、これは所得税の控除の話で、国の大綱では住民税の生命保険料控除は見直しとして挙がっていません。
いつまでに・何を添える? 国税庁の案内では、保険料控除申告書は「その年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに」会社に出します。実際には、会社の案内の締切のほうが先にくるので、そちらに合わせてください。生命保険料などの控除を受けるときは、支払った金額を証明する書類を1部添えます(旧生命保険料は、支払金額から剰余金や割戻金を差し引いた残りが9,000円を超える場合)。
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」/国税庁 記載例「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」/国税庁 記載例「扶養控除等(異動)申告書」/国税庁「年末調整を受ける際の注意事項」/国税庁 記載例「保険料控除申告書」/国税庁「給与所得者の保険料控除の申告」/国税庁 タックスアンサー No.1140「生命保険料控除」/財務省「令和7年度税制改正の大綱」
育休中の妻がいる家は
僕の家のように、妻が育休中の家で気になるのが、配偶者控除の判定です。
国税庁のQ&Aでは、雇用保険から出る育児休業給付金は課税されず、控除対象配偶者に当たるかを判定するときの合計所得金額にも含まれないとされています。判定に入るのは、その年に会社から受け取った給与のほうです。
育休で年の途中から給与が止まった場合も、❷の見積額の欄には、その年の1月から12月までの給与から見積もった合計所得金額を書きます。ただ、育休で給与が止まった・戻った月をどう見積もるかを個別に書いた国税庁の文は見つかりませんでした。妻の給与明細や源泉徴収票の見込みを妻の会社に確かめて、夫の会社の担当に相談しながら書くのが安全です。
出典:国税庁 タックスアンサー No.1191「配偶者控除」Q&A/国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」
やってはいけないこと
- 去年の申告書を見て、同じ数字を写さない。 基礎控除も扶養の上限も、令和8年分で変わっています
- 秋に配られた令和9年分の扶養控除等申告書を、今年の年末調整の分と取り違えない。 今年の分は、年の初めに出した令和8年分です
- 「136万円まで扶養のまま」を社会保険にも当てはめない。 社会保険の扶養は原則130万円未満で、別の基準です
- 妻や子の収入を「年収」と「合計所得金額」で取り違えない。 表の62万円・133万円は合計所得金額、136万円・207万円は給与だけの場合の収入です
- 旧契約だけの生命保険で「6万円に上がる」と思い込まない。 特例は新生命保険料の表です
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」/国税庁 タックスアンサー No.1140「生命保険料控除」
出したあとで間違いに気づいたら
年末調整が終わったあとで、配偶者控除・配偶者特別控除を受けた配偶者や本人の合計所得金額の見積額と、確定した合計所得金額がずれて、控除額が変わる場合は、年末調整のやり直しができます。やり直せるのは、会社が「給与所得の源泉徴収票」を渡すことになる翌年1月末日までです。
- ずれに気づいたら、すぐに会社の年末調整の担当に連絡する
- 正しい見積額で、配偶者控除等申告書を出し直す(会社の案内に沿って)
生命保険の控除証明書を出し忘れたら
国税庁の令和5年分の年末調整の手引きには、年末調整が終わったあとに、その年に生命保険料や地震保険料などを払った人がいる場合は、保険料控除申告書を受けて保険料控除額を計算し直し、年末調整のやり直しをすることができる、とあります。できるのは、源泉徴収票を渡すことになる翌年1月末日までです。これは会社側の手続きの説明なので、まずは会社の担当に、やり直してもらえるか聞いてください。
逆に、「翌年1月末日までに証明書を出す」という条件で年末調整をしてもらったのに出さなかった場合は、その保険料を除いて計算し直され、足りない税金が引かれます。
会社でのやり直しが間に合わないときは、確定申告を考えます。確定申告で生命保険料控除を受けるときは、確定申告書の生命保険料控除の欄に書き、支払った金額などの証明書を添付するか、出すときに見せます(年末調整で控除を受けた分は不要)。確定申告の義務がない人が納め過ぎの税金を返してもらう還付申告は、翌年1月1日から5年間出せます。また国税庁の通達には、年末調整のあとに変わった所得控除は確定申告で精算することができる、という注があります。自分の場合に当てはまるかは、会社か税務署に確かめてください。
また、年末調整をしても、確定申告が要る人がいます。給与を1か所から受けていて年末調整をしている会社員でも、給与と退職所得以外の所得が20万円を超える人は確定申告が要ります。医療費控除を受けるための還付申告をするときは、20万円以下の所得もあわせて申告します。住宅ローン控除の1年目も、年末調整ではなく確定申告です。
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」/国税庁 タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」/国税庁「令和5年分 年末調整のしかた」年末調整後の再調整/国税庁 所得税基本通達 190-5/国税庁 タックスアンサー No.1140「生命保険料控除」/国税庁 タックスアンサー No.2030「還付申告」
よくある質問
今年も定額減税はある?
国税庁の「定額減税について」のページは、定額減税を令和6年分所得税の措置と書いています。「令和8年分 年末調整のしかた」には、定額減税についての記載はありません。
11月の給料から、手取りが変わる?
国税庁は、令和8年11月までの給与等の源泉徴収事務に変更は生じないとしています。改正は令和8年12月1日の施行で、令和8年分の所得税として年末調整で計算されます。
妻の収入が130万円を超えそう。年末調整ではどうなる?
税のほうでは、妻の給与が136万円以下なら配偶者控除、136万円超207万円以下なら配偶者特別控除の対象です(本人の合計所得金額が1,000万円以下の場合)。130万円は社会保険の扶養の基準なので、年末調整の配偶者控除がそこで急になくなるわけではありません。社会保険の扶養は、夫の勤め先の健康保険に確かめてください。
住宅ローン控除は、今年も年末調整でできる?
1年目は確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」を出せば控除を受けられます。税務署が発行する「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」などを添えます。
まとめ
- 令和8年分の年末調整は、基礎控除・給与所得控除の最低保障額・扶養の所得要件・生命保険料控除の4つが変わる
- 基礎控除は合計所得489万円以下で104万円、給与所得控除の最低保障額は74万円。合わせた178万円が、大綱の「課税最低限」
- 扶養に入れる収入の上限は、給与だけなら136万円以下。配偶者特別控除は207万円以下まで続く
- 社会保険の扶養(原則130万円未満)は別の基準。税の136万円をそのまま当てはめない
- 23歳未満の扶養親族がいる家は、新生命保険料の控除の上限が6万円に(旧契約だけの人は対象外)
- 秋に配られる扶養控除等申告書は令和9年分(来年用)。今年の分は年の初めに出した令和8年分
- 見積もりがずれたら、翌年1月末までなら会社でやり直せる。間に合わなければ確定申告(還付申告は5年間)
書類が配られたら、去年の紙を写す前に、この記事の5つだけ見てから出してください。
この記事は2026年10月14日時点の国税庁・財務省・厚生労働省・日本年金機構の公式情報をもとにしています。書類の様式や会社ごとの提出の方法は違うことがあるので、書く前に会社の案内も確認してください。
